デザインセミナーの話

 こんな人と一緒に仕事ができたら楽しいだろうな、と思ったそのセミナーの講師は、高知県四万十市で休耕田の棚田で米づくりをしながらデザイン会社を設立した迫田司氏。その迫田氏が経営するサコダデザイン株式会社は、地元密着型のデザイン会社だ。地元の人たちと一緒に、地域をデザインしているところがとてもいい。

 だからこのセミナーでは、迫田氏自身の話はほとんど出てこない。四万十のことやプロジェクトで仕事をした役場の人、農家の後継ぎが新商品を開発したことなど、地元の話が元になっていて、迫田氏が登場したのは川に潜って鮎をとっている写真それだけ。しかも潜っているから背中と足だけ...。

 四万十の話を聞いていると、四万十に行きたくなってくるから不思議だ。河に架かった橋が増水で水没するところからはじまる話は、なんだなんだと引き込まれてしまう。

 

 その水没する橋もデザインに使われていた。農産物を届けるとき「その橋をわたってお届けしています」とそのデザインと一緒にお客さんと話しているそうだ。そこでとれた農産物を前にしてそんな話をしているとつい欲しくなってしまうし、一度そこに行ってみたくもなる。お土産話があると、食べものも美味しくなってくる。


 今回のセミナーで学んだことは、「ものの道理が分かること」が大切ということ。なぜそこにそれが昔からあるのか。その理由や背景など、歴史から学びながらデザインしていく。そんなことがデザインには必要だということだった。

 

 時間はかかることだけど、それを抜きにして良さを高めることはできない。見た人がぼんやりとでもいいので、「あそこはいいとこなんやなー」という思いがする。そんなデザインが大切ということだった。

にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 伊予(市)情報へ