松場登美(まつば・とみ)さんの講演に行った。松場さんは、株式会社 石見銀山生活文化研究所の代表取締役所長でありデザイナーだ。雑貨ブランドを持ちながら、築150年の古民家を修復して、それを店舗や事務所として活用している。これらは、生活文化の交流にも役立てられている。
松場さんの事務所は山奥にある。かやぶき屋根を修復した古民家は、昔ながらの外観をもった建物なのに、中に入ると都市圏のオフィスと変わりない。スライドで見せてもらったその様子は、移築がどんなに困難だったのか想像がつく。
もちろん、このオフィスには若い人が多い。若い人は田舎をいやがって都会に行き、田舎は過疎が進んで困るといった話をよく聞くが、松場さんの話を聞いていると意識のちがいがそうさせているのだと気付くことができる。意識が変われば、若い人が田舎で仕事ができる環境に変えることができる。
でも、自ら意識を変えるということは難しい。何らかの影響がなければ出来ないことではないか。それがどんなことなのか、後になってから疑問が出てくる。
私が思うのは、価値観の違いを認めることから始めればいいのだろうと。やっていること、考えていることは違っていても、それらを集めて共通の目的を持てば意識を変えるきっかけになるのではないか。
そのきっかけに地域の人が気付き大切にできれば、地域が変わるのではないかと、この講演で気付くことができた。
昔の良いもの、良いことを残すためには、昔とは違ったことをする必要がある。昔と同じ方法では、残すことはできない。このことに気付くことが大切だろうと。